副業やってみたら「本業にも相乗効果アリ」。 大企業の人事部も「応援したい」と本音



「副業」に注目が集まっている。政府も「働き方改革」の一環で、推進を打ち出している。

しかし、どう始めたらいいのかわからない、イメージが湧かないという人も多いのではないだろうか。

一方、企業に聞いてみると意外と「もうやってる」「歓迎」というところも増えてきた。

会社員の副業って、一体どんなものなのだろうか?そして、どうやったら、会社にも認めてもらいやすいのだろうか。

ハフポスト日本版は7月3日、クラウドソーシングをはじめとしたフリーランス総合支援サービスを手がける「ランサーズ」とのイベントで、企業の人事担当者や副業の経験者から「うまくやるコツ」を聞き出した。

コツ1:副業を会社に言うときは「周りから攻める」

コクヨ株式会社でデータを活用した顧客マーケティングに携わる岸健二さんは、2014年ごろから音楽を作って売る「副業」を行なっている。

実はコクヨでは、「副業」は原則禁止。岸さんは、上司や同僚の理解を得るには「周りから少しずつ攻めながら、きちんとオープンに相談をした」と明かした。

「人事や上司と、オープンに会話をすることは重要だと思います。日本の会社は保守的な部分もあるので、最初は勇気が必要でしたが、後ろめたさを抱えたまま副業に取り組むのも、自分としては健全じゃないなと思いました」

「最初は、いきなり上司に副業の相談をするのではなく、周辺から攻めました(笑)。『飲み会で言っといてよ』『探り入れといてよ』などと、同僚を少しずつ巻き込みながら、上司に正直に打ち明けると、親身になって受け止めてくれました。しっかり話を聞いてくれて、副業が本業に競合しないなどのシンプルな条件をつけて、認めてもらえました」

コクヨ株式会社の岸健二さん

副業の経験が本業で活かされるなど、ポジティブな相乗効果を見出しているという。

「副業で音楽を作りはじめてから、本業においても、それまでとは違う、新しい視点が加わりました。本業でイベントを運営することがあるのですが、音楽制作で学んだ演出方法や人脈をフルに活用しています」

「音楽一本に絞ってそれだけで食べていくっていうのも、それはそれでしっくりこないと思います。本業の方で感じるストレスやプレッシャーが、副業の音楽制作において、大きな原動力やアイデアの源になっている気がするんです」

コツ2:キラキラした副業なんてない。気負わずに、まず始める。

ヤフー株式会社でデザイナーとして働くかたわら、副業としてクラウドソーシング「Lancers」でデザインの仕事に取り組んでいる岡直哉さんは、「本業と違って、仕事の内容や時間を主体的に決められるのが副業の魅力」と語った。

副業について真剣に考えすぎて行動に移せていない人たちには「気楽にはじめてみて」とアドバイスした。

「気負っちゃうと準備してしまうし、それに対する見返りが少なくてやめちゃう人もいると思います。でも、(副業は)お金がかかるものでもないので、気楽に自宅で始める気持ちでいいのではないでしょうか」

「僕自身、副業ではそんなに稼ごうと思っていません。時間も限られますしね。でも会社ではできない仕事に取り組み、スキルアップするために副業しています。本業で収入が安定しているからこそ、副業はプラスオンの気持ちでできるし、クライアントとも気負わず付き合える。発注者と受注者の新しい関係で面白いですね」

ヤフー株式会社の岡直哉

一方、副業を受け入れる企業の本音は…?

ランサーズのフリーランス実態調査(第4回、2018年版)によると、業務委託で仕事をする広義の「フリーランス」の人口は日本で1119万人。そのうち454万人は、どこかの会社に勤めながら、業務委託で別の仕事をする「副業フリーランス」という。働き手の報酬などを元に算出した副業フリーランスの経済規模は、2015年の約2倍の4.4兆円となった。

副業求人サービス「エン転職」の調査によれば、20代〜40代の正社員3111名のうち88%が「副業に興味あり」と回答している。

副業にチャレンジする人が増え、興味を持つ人も増えているようだ。

一方、中小企業庁の調査(2014年度)によると、約1200社のうち、副業・兼業を認めている企業はわずか14.7%。

「本業がおろそかになる」「労災が起きたときの責任の所在がはっきりしない」「情報が漏れるリスクがある」など企業側からは不安の声が聞かれる。

2018年4月から副業解禁した株式会社新生銀行では、社員約2700人の約1%から、副業申請があったという。グループ人事部の中尾陽平さんは、副業に取り組む社員の「生き生きした様子」が社内に伝染し、会社の雰囲気が活性化したことが一番のメリットだと語った。

株式会社新生銀行の中尾陽平さん

副業解禁にあたり、一般的に議論される以下3点のリスクが、やはり同社でも焦点になったという。

①情報漏洩②競業避止③利益相反

「しかし、よく考えるとこの3つは全て、『副業だからこそ』のリスクではないんですよね。ほとんど全ては申請の時にクリアできる問題。兼業、副業を解禁することで優秀な人材を惹きつけておきたいという結論にいたり、解禁に踏み切りました」

同社の副業解禁には、思わぬ効果もあった。

「まだまだ解禁をうたっている企業がそんなに多くはないからか、別の企業さんから(副業解禁について)話を聞きたいという相談が増えました。こうした他社とのコミュニケーションの活性化や、先進的なイメージの拡散は、想像以上に大きな効果でした」

中尾さんは、社員の健康管理などを懸念事項として挙げながらも「基本的に社員の副業は応援したい。なるべく早めに相談してほしい」と語った。

副業する人が増えると、日本の労働生産性があがる?

同じく社員の副業を認めているソフトバンク株式会社で人事を務める石田恵一さんは、社員の副業を「武者修行」に例えた。

「副業で大学講師をしているエンジニアがいるのですが、副業を通じて知識を深め、人脈の幅を広げたことで、どんどん専門性を高めていきました。結果、仕事のパフォーマンスが向上し、新規事業の立ち上げなど、新たな業務にも参加するようになりました。社員には、副業でいい経験をして、本業に還元してほしいですね」

ソフトバンク株式会社の石田恵一さん

また、副業人口が増えれば、日本の将来は明るいのではないかと語る。

「副業がもっと広がれば、一人ひとりが会社に縛られ続ける必要がなくなり、年功序列、長時間労働、終身雇用といった日本型の雇用システムが崩れると思います。そして、副業をする人が増えれば、成長している産業に人材が集まっていくので、日本の労働生産性は上がっていくのではないでしょうか」

ハフポスト日本版の竹下隆一郎編集長も「副業の『副』という文字からは、どこか重要じゃない響きもある。気軽に始めた誰かの副業によって、今までにない職業が日本に生まれ、それは日本にとっての新たな付加価値になる。一人一人が新しい職業を生み出す流れに繋がって欲しい」と話した。

副業で稼いだお金、税金は?

ところで、副業には税やお金の知識も不可欠だ。たとえば、副業で稼いだお金が個人収入の場合、収益から経費を差し引いた「利益」が、年間20万円以上出たら確定申告が必要だ。

税理士で、自身も新宿ゴールデン街で「無銘喫茶」というバーを経営したり、YouTubeに出演したりして副業に挑戦している高橋創さんもイベントに登壇。最近は副業をしている人の納税の相談に乗ることも多いという。

税理士の高橋創さん

よく論点になるのは「どこまで経費に含めることができるのか」という点。高橋さんは「領収書は必ずとっておきましょう」と前置きした上で「自分自身できちんと(経費であるという)理にかなった説明できれば、通常は問題なく経費として処理できます」と述べた。

基本的な確定申告では、税理士に頼らずとも処理できることが大半だが、困ったことや不透明なことがあれば、税理士に相談してほしい、と呼びかけた。

イベント参加者はドーナツ片手に疑問や不安をぶつけあった。 

「副業」という言葉はよく聞くが、副業の始め方にまつわるノウハウはなかなか共有されない。人事部の人や会社が、副業を邪魔する「敵」に見えてしまい、「副業」の相談をした途端に会社に居づらくなるのではないか、という不安もよく聞かれる。

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しかし、思い込みでチャンスを逃すのはもったいない。

会社も個人も、まさに変わろうとしている真っ只中の現代社会で、お互いがお互いのホンネに耳を傾け、歩み寄ることが、はじめの一歩かもしれない。



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